2026.09.30

木を、暮らしに戻す。関川村の森から始まる「里山DROP」のものづくり

関川村の森から生まれた香り
百年ひのきとクロモジを活かす、森から始まるものづくり

関川村の森の「香り」を暮らしに届ける商品が生まれました。

取り組んでいるのは、地域おこし協力隊の荻原学さん。 村の木を切り、生活道具などに加工する傍、その過程で出た、枝葉や木くずに着目し、無駄なく使うものづくり。 森にあるものをできるだけ活かし、次の形へつないでいきます。

関川村の森でヒノキを見つめる荻原学さん
関川村の森でヒノキを見る荻原さん。

割れなかったヒノキを、別の形に

関川村に移住するきっかけになったのが、木を薄く割って屋根材にする「こば葺き」に惹かれたからでした。村内では、渡邉邸の屋根などにも使われている、伝統的な技法です。

木を薄く割ってつくられた屋根材のこば
木を薄く割ってつくられる「こば」。

村内に立派なヒノキの林があると知り、それを材料に使えないかと切り出してみたものの、 「実際に割ってみると、粘りがあって割れないんですよ」 とのこと。屋根材としては適さなかったといいます。 一方で、加工しているときに感じるヒノキの清々しい良い香り。そこで考えたのが、蒸留して香りを取り出すことでした。

使えなかったから終わりではなく、別の使い道を考える。木を無駄にはしない。この発想が荻原さんのものづくりの根幹にあります。

関川村の山に育つヒノキ
関川村の山に育つヒノキ。

年輪を数えると、138年

切り倒したヒノキの年輪を数えると、138年。 100年以上、関川村の山で育ってきた木でした。

荻原さんが伐採時に年輪を数えた関川村のヒノキの切り株
伐採後、時間が経ったヒノキの切り株。 荻原さんは伐採時に年輪を数え、138年であることを確認したといいます。

木くずを香りの材料に

こばには適さなかったものの、立派なヒノキです。
製材し、別の形に加工していくことにしたそうですが、その際に出る木くず。これが、蒸留の材料になりました。
木くずを蒸留器にいれて蒸し、蒸気として香りを取り出したら、それを冷やして液体へ。その中から、ごくわずかに浮かぶ油分を集めたものが精油です。
およそ3時間かけて、約5mlの精油が採れるそうです。
長い年月を生きてきた木から、手間暇かけて生まれる、貴重な小さな一滴です。

木工作業によって発生するヒノキの木くず
木を加工する工程で生まれる木くず。
作業場に落ちたヒノキの木くず
この木くずも蒸留の材料になります。
蒸留水とヒノキ精油が分かれたオイルセパレーター
蒸留によって分かれたヒノキの精油と蒸留水。 上に浮いている層が精油です。

森から生まれた、二つの香り

現在つくられているのは、 「百年ひのき精油」と 「黒文字蒸留水」の2商品です。

関川村の百年ひのき精油と黒文字蒸留水
「百年ひのき精油」と「黒文字蒸留水」。

ヒノキとクロモジでは香りの印象も少し違います。 荻原さんは「どちらも柑橘系のような清々しい香り。クロモジのほうが酸味が強い」と話します。 香りは言葉だけでは伝えにくいものですが、 二つを比べてみると、その違いも楽しめます。

クロモジも、関川村の山に多く自生する樹木です。 香木として古くから知られる木で、七ヶ谷地区ではクロモジ茶の生産が盛んですが、その製造過程で、使われずに残る部分があると聞いたことから、蒸留を始めたといいます。

「里山DROP」に込めた、一滴の話

商品につけられた名前は、 「ひとしずくのめぐみ 里山DROP」。 由来を尋ねると、荻原さんは 「一雫が、森を、暮らしを、作っているという意味です」と話します。

山に降る雨や雪の一滴が集まって、川になり、海へ流れ、そしてまた山へ戻ってくる。それが暮らしに豊かな恵みをもたらしてくれる。
蒸留器から落ちる一滴にも、そんな循環のありがたさを重ねています。

木を、暮らしに戻す。

荻原さんがつくっているのは、精油や蒸留水だけではありません。 「昔は、木でできた器がほとんどでした」と話すように、以前から器や家具などの木の生活道具も手がけてきました。 。

現在、村の木を使った曲げわっぱや桶などの昔ながらの道具づくりにも取り組んでいます。こばには適さない曲がった木を、使うこともあるそうです。

森にあるものを見ながら、次は何にできるだろうと考える。関川村の森林資源を活かしたものづくりから、森を近くに感じる暮らしづくりが始まっています。

割れなかった一本のヒノキは精油になり、 その一滴から、次のものづくりが始まっています。

関川村にある荻原さんの作業場
荻原さんの作業場。

商品の取り扱いについて

「百年ひのき精油」「黒文字蒸留水」は、 道の駅関川での取り扱いが始まりました。

百年ひのき精油 3,300円(税込)
黒文字蒸留水 1,430円(税込)
※価格・販売状況・取扱商品は変更となる場合があります。
道の駅に並ぶ百年ひのき精油と黒文字蒸留水
道の駅に並ぶ「百年ひのき精油」と「黒文字蒸留水」。
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