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茶館きっかわ 嘉門亭 村上のお茶文化・所作・お庭、五感で味わう空間

2023.10.18

2022年5月にオープンした茶館きっかわ 嘉門亭(さかんきっかわ かもんてい)さん。
何のお店?と聞かれてぴったりの言葉を見つけるのが難しいのですが、村上のお茶文化を味わい尽くせるお店です。

お店が位置するのは、村上市の町屋通り(旧中央商店街)の真ん中あたり。
長い間空き店舗になっていた広い間口の建物で、ここのシャッターが開いたら町の風景が変わるだろうなぁと感じていた場所で、鮭の加工販売の「千年鮭 きっかわ」鮭料理専門店の「千年鮭 きっかわ 井筒屋」を運営する株式会社きっかわの3店舗目のお店としてオープンしました。



町屋通りに面した障子戸を開けると、目に飛び込んでくるのは客席と一続きに広がる中庭の緑。

店内がしっとりとした落ち着いた暗さなので、庭の自然の光の明るさと緑の美しさが引き立ちます。町の中でこれだけ大きな中庭が広がっている建物は珍しいそう。

座席はどこも庭を見渡せる位置。
店内中央には、大きな一枚板を使った長いテーブルが置かれ、シャンデリアがキラキラと光る、和と洋が合わさった雰囲気です。つややかなテーブルの天板に映る空と木々の庭木の緑が、贅沢な空間に来たことを実感させてくれます。



メニューは、上煎茶、番茶、ほうじ茶のいずれかと手作りの小さな創作菓子がセットになった「亭主の茶と一口菓子」、そして「紅の苺ジュース」や「黄金の生姜ジンジャーエール」などの名前もスペシャルな「特製ドリンクと一口菓子」など。

お茶とお菓子についてはぜひ体感していただきたいので詳しくは書きませんが、上質な出汁のような旨味を味わえる一煎目から、自分で淹れる五煎目まで、趣向を凝らした演出と味の重なりで村上茶を堪能できます。

茶葉を食べたり、茶葉に季節の素材を加えて村上茶と素材の風味の重なりを楽しんだりと、こんなにお茶についての可能性を感じられるのか…!という体験でした。



そして、嘉門亭独自というお茶を淹れるお点前の所作の美しさに目が奪われます。

使われているお道具も美しい…!メニューが入った硯箱(すずりばこ)や、煎茶を入れた棗(なつめ。本来は抹茶を入れる器)、煎茶を量る茶合(ちゃごう)などなど、こんなに贅沢なお道具でもてなしてもらえるの?!と驚いてしまいます。

店頭にはお点前で使われていた村上木彫堆朱のお道具や、日本全国から集めた選りすぐりの器が並んでいてギャラリーのよう。



嘉門亭、既存のお店の形式で呼ぼうにもどれもぴったり来ず、紹介するのが難しいのですが、名前の通り「茶館」と呼ぶのがぴったりでした。

喫茶店でもなければお茶屋さんでもない、村上のお茶文化とお庭と空間、お点前とお茶の美味しさを隅々まで味わえるお店。

喉が渇いたから何か飲みに…と入る場所でも、おしゃべりを楽しみに行く場所でもなく、空間と文化と所作と味を五感全てをつかって味わう、そんな場所です。


DATA
住所 新潟県村上市大町3-7
電話番号 0254-75-5711
営業時間
 9:30~17:00(御茶サロン10:30~17:00 ※L.O. 16:00)
休業日 水・木、年末年始
駐車場 15台(千年鮭 きっかわと共用)
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この記事を書いた人

松本典子

村上市の小さな宿「よはくや」のオーナー兼フリーライターです。村上生まれ、村上育ち。観光に来た人を連れて行きたくなるお店、ガイドブックに載らないようなお店、ふだんのまちの様子など、地元の目線でお届けします!

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