REPORTピックアップレポート

スパイシーブラザーズ|記憶とともに味わうクラフトビール

2026.05.20

好き、が一杯になる場所

2026年初めに販売をスタートしたクラフトビール醸造所「スパイシーブラザーズ」さん。

醸造所にタップルームを併設したこの場所では、“趣味にスポットライトを当てたビール”というユニークなコンセプトのもと、ここでしか出会えない一杯が生まれています。

元クロネコヤマトの営業所をリノベーションした空間は、ラフで無骨、それでいてどこかあたたかくスタイリッシュ。今回は代表の川崎さんに、創業の背景やビールへの思いを伺いました。

趣味の時間に寄り添うビール

──スパイシーブラザーズさんは、どんなブリュワリーなのか教えてください。

「村上市初となるマイクロブリュワリーです。2020年から5年の年月をかけて設立しました。
2026年からオリジナルクラフトビールの販売をスタートし、これまでに3種類のビールを醸造してきました。醸造所脇に、作りたてのビールを提供するタップルームを併設しています。」



──ビールは、どのようなコンセプトで作っていますか?

「“趣味にスポットライトを当てたビール”をテーマにしています。
最初のフラッグシップモデルに続いて、『キャンプ』とか『バックカントリー』とか、趣味の名前をつけたビールをつくりました。今後もいろんな趣味をテーマに展開していきたいと思っています。」

ただ飲むためのビールではなく、好きなことに夢中になっている時間、その余韻まで楽しめるビール。そんな発想が、このブルワリーのいちばんの個性といえます。

たとえば、キャンプの途中で飲む一杯。あるいは家に帰ってから、その日の景色や空気を思い出しながら飲む一杯。

スパイシーブラザーズさんのビールは、ただ飲むだけでなく、その趣味の時間ごと味わってもらうことを大切にしているそうです。記憶がふっとよみがえるような、そんな体験を届けたいのだとか。

仕事で笑顔をつくりたい


──そもそも、なぜビールをつくろうと思ったのですか?

「いちばん大きいのは、好きがこうじて…ですね。家業を20年やってきたんですが、親が敷いてくれたレールとは別に、自分の力で新しいことをやってみたい気持ちがあって。そんな中で、笑顔を仕事にできないかって考えるようになったんです。」



──そこから、どのようにビールにつながったのでしょう?

「趣味でバックカントリーをやっていて、仲間と過ごす楽しい時間の真ん中には、いつもビールがあったんです。だったら、自分でビールをつくれば、人を笑顔にできるんじゃないかと思って。そこから調べ始めて、実現まで5年くらいかかりました。」

周囲に教えてくれる人がいたわけではなく、知識も設備選びもすべてゼロから。たくさんのブルワリーを訪ねながら情報を集め、少しずつ形にしていったそうです。「山あり谷ありでした」と笑う川崎さんの言葉には、苦労と達成感の両方がにじんでいました。

店名に込めた、仲間との距離感

──「スパイシーブラザーズ」という名前の由来も気になります。

「スパイシーは刺激的っていう意味もありますけど、ちょっと下品だったり、下世話だったり、仲のいい仲間と話しているときの他愛なさみたいなものも含めて使っています。
ブラザーズは、実際に兄弟ってわけじゃなくて、5〜6歳の頃から一緒にいる幼なじみたちとやっているので。」

気取らず、でも熱量は高い。そんな空気感が、店名からも伝わってきます。女性のお客さんから「どうしてブラザーズなんですか?」と聞かれることもあるそうですが、それもまた、この名前らしいエピソードに思えました。

リッチな味わいと、趣味の名前を持つビールたち

現在の定番は、ニュージーランドホップを使ったフラッグシップモデル。

スタイルはウエストコーストIPAで、ホップをふんだんに使いながらも、苦味や炭酸は抑えめ。女性でも飲みやすい設計にしているそうです。

ほかにも、複数のホップと特殊な酵母でトロピカル感を引き出したヘイジーIPA「キャンプ」、黒でバックカントリーの危うさを表現したミルクスタウト「バックカントリー」など、個性の異なるビールがそろいます。さらに今後は、その二部作の続編となる新作「FOR AWESOME」も控えているとのこと。



──ビール造りのこだわりは何ですか?

「麦芽をふんだんに使って、リッチな味わいにすることですね。ホップもしっかり使って、ほかではなかなか飲めないようなものを出したいと思っています。」

原料を惜しまないこと。味の厚みをしっかり出すこと。そのこだわりが、趣味の時間にふさわしい記憶に残る一杯につながっているのかもしれません。

実は…元クロネコヤマト

店内もとても印象的です。もともとはクロネコヤマトの営業所だった建物を、時間をかけてリノベーション。

壁はコンクリートをラフに塗り重ねたような仕上がりで、鉄の柱の一部は塩水で錆を出すという手法も使って年月を感じる表情に。クッションフロアを剥がしただけの床も不思議なほど調和しています。

照明はアーティストによる特注品、スピーカーの外装や衝立は幼なじみの手仕事。
ひとつひとつに、人の手と関係性が感じられるのも、この場所の魅力でした。夜はライトを落とし、昼とは違うムーディーな雰囲気に。

タップルームプレオープン中

出来立てのビールが飲めるタップルームは、2026年度は1年間のプレオープン期間として営業中。
金曜・土曜の夜に加えて日曜日のお昼過ぎまで営業。日曜は朝ビールはもちろん、コーヒーやトーストなどの朝食も提供しています。
来年4月のグランドオープンに向けて、客足や運営体制を見ながら、営業日やスタッフ体制も整えていく予定だそうです。

好きから始まった挑戦は、ビールだけでなく、空間や時間の過ごし方まで丁寧に形づくられていました。
趣味の記憶を呼び起こす一杯、仲間と過ごすような空気を味わいに、スパイシーブラザーズさんを訪れてみてはいかがでしょうか。


 

  • 項目の入力
  • 入力内容の確認
  • 送信完了
  • コメントを書く
  • ハンドルネーム
【注意事項】
*記事に対して相応しくないコメントについては削除対象となる場合がございます。ご了承の程お願いいたします。

この記事を書いた人

スプスプ編集部

どんなに良いことも発信しなければ無に等しい。過去・現在を知ることは未来を作ること。情報の力で地域がより良くなると信じて。

RANKINGピックアップレポート