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藤井折箱屋|あなたにもやがて来るその日のために

2024.12.23

町屋の通りに現れる、折箱屋って何だろう?

村上の伝統的な町屋の通り、少し見慣れない業種の看板を掲げるお店があります。
そのお店は「藤井折箱屋」さん。

折箱とは、お寿司や食品などを入れるために、板を折り曲げて作られた日本独自の食品容器で、藤井折箱屋さんはボール紙などを材料にオリジナルサイズの箱を製造販売しています。

折箱は本来、スギやヒノキなどを薄く加工した経木を使って作られるものですが、現代では木製に限らず、紙や発泡スチロール、プラスチックで作られた箱製品の総称となっています。



町屋に工房を作っちゃったから…

住居の一階部分が店舗と工房。建物自体は昔ながらの物ではありませんが、町屋特有の縦に長い敷地のため、奥に奥にと工房が伸びています。

最深部で動いているのは、どうやって入れたのか不思議なほどの重量級断裁機。

他にも博物館にありそうなレトロな筋入れ機や、メンテナンスをしてくれる業者を探すのも大変、といった糊付け機など、店主の相棒と呼べそうな機械が現役で稼働しています。





完全異業種へ、20代半ばでUターンした四代目

現在、藤井折箱屋さんの店主は四代目の藤井和徳さん。

創業は和徳さんの曽祖父。この方、もともと大工だったのですが怪我で大工仕事が出来なくなり、あまり動き回らずとも大工のスキルを活かせる折箱屋に活路を見出し、ジョブチェンジしたのが藤井折箱屋さんの始まりでした。当時は折箱屋さんは割とメジャーな職種として各所にあったようです。

和徳さんは大学を卒業後に県内企業にソフトウェア開発のエンジニアとして就職。
当時は「村上に戻ったとしても30代に入ってから…」という思惑もあったようですが、三代目である父の病気をきっかけに、20代半ばにUターンして家業を継ぐ形になりました。

デジタルからアナログへ、それまでとは全く違う職種となる中で、父に教えてもらったり、見様見真似から自分なりの方法を考えてやっていくと、当初は村上の町屋巡りが話題になっていた事も追い風となり、まずまずの結果を出せたと言います。



オリジナルの紙箱をひとつから

現在主力商品は、お菓子や工芸品などを入れる紙製の箱。

我々に馴染のあるところでは、冠婚葬祭でまんじゅうが入ってくるアレですね。その他、引き出物や堆朱の箱などにも使われています。

葬儀に際して地元のお菓子屋さんから特注&特急で箱の注文が入ると、翌日までに間に合わせるために夜まで作業する事もあるそうです。

故人の好きだったお菓子を詰め合わせるとオリジナルサイズになる事が多いわけですが、「そうした一人ひとりの細かい要望に応えられるところが、仕事の喜びでもあります。ギフト用などにも1個から作りますよ。」と和徳さんは話してくれました。



箱の他、店頭には料理用のパック、置き物、のし袋などが陳列されています。

料理用のパックは一個から販売し、個人のお客さんも赤飯やお祭りのご馳走などを入れるために買いに訪れます。
使い捨てについては賛否ありそうですが、パックは手間を減らせるので、人手不足の宴会場などでも重宝されているようです。

意外と可愛いもの好き、ネコの置き物や湯呑みなどは店主のセレクト。それよりも目を引くのは推しのアイドルポスターだったり…

また、のし袋は要望があれば名前を書いてくれます。なんと無料!…ですが、担当者が居ないときもありますので余裕をもってお願いした方が良さそうです。



道のり険しい折箱業界、温めてきた想い

質問に飄々と答えてくれる和徳さんですが、折箱屋さんの置かれている状況は楽観視できるものではないと感じているようです。

コロナを機に、冠婚葬祭が縮小の流れになっている事、顧客となる地元のお菓子屋さんなども減る中で、村上市近隣の同業者は相次いで廃業。一時はそのお客さんが流れて来たものの、先細り感は否めない様子。

今後の展望の一つとして、村上盆唄かるたを商品化したいそうです。さすがは生粋の村上人。ぜひとも祭りに対しての熱い想いを具現化して欲しいところです。新商品を機に、新たなビジネスのチャンスも広がりそうですね。



ここで唐突に和徳さんに質問

趣味は何ですか?

Podcastでラジオを聞いてます。
こむぞう、アトロク2、イーゴンお前もか、川島明のねごと、ストレージ2000、ひなたまつり、コテンラジオなど。 ちょっとした作業中や移動中に聞けるのが良いです。

好きな言葉は?

臨機応変。
小学生のころに意味を知って、卒業記念で校長先生に色紙に書いてもらいました。

村上で良く行くお店は?

ドリームベーカリーです。
いわゆる「高級食パン」が絶品で、毎月予約して買いに行きます。シナモンロイヤル、あんこロイヤルがおすすめ。

困っていることはありますか?

家族経営なので、急ぎや大量の注文を受けるの難しい時があります。従業員を増やせば良いのかもしれませんが、そこまででも無いような…

↑これはウチも似たような所がありますね…



あぁ、これに丁度いい箱があれば…入れ物を探していて偶然ピッタリの箱が見つかった時って、快感♡ですよね?そんな偶然を必然にしてしまう箱屋さん。お値段もとってもリーズナブル。

今すぐは必要ないかも知れないけれど…あなたにもその日は必ずやってきますよ!

 
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この記事を書いた人

スプスプ編集部

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