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千年鮭きっかわ 時に1000匹の鮭が吊るされる歴史ある町屋

2023.10.09



1626年創業の老舗、千年鮭(せんねんざけ)きっかわさん。
風情を感じる大きな暖簾をくぐりお店に入ったら、目移りしてしまう鮭料理の商品の数々から一旦目を離して、まずはお店の奥へ。

引き戸を開け、土間の上を見上げると、一面に吊るされた鮭・鮭・鮭!見えない所まで含めると、約1000匹の鮭が吊るされているそう。



この鮭は、内臓を出した生の鮭に塩をすり込み、漬けた後で塩を洗い流し、約1年吊るして熟成させ、薄く切って日本酒を垂らして食べる酒の肴、「鮭の酒びたし」になるもの。

真冬の寒い時期に同じように塩をしてから3週間から4週間ほど熟成させ、焼き魚にして食べる「塩引き鮭」も同じように吊るして作られます。

さらに奥まで続く土間の先には加工場があって、店頭に並ぶ数々の鮭料理は加工場で手作りされているそう。



そして、鮭から目を離すと立派なお座敷が。土間でお店からひと続きになっていて、住まいの中まで、靴を履いたままで入って来ることができるのが、村上の町屋づくりの特徴です。

以前筆者の宿のお客さんを案内した時に、中から物音や話し声が聞こえてきたことに驚かれていた方がいたのですが、住まいと知らなければびっくりするのも当然ですよね。

中には建物や調度品を見て「よく出来ていますね〜」とおっしゃる方もいました。博物館のような再現施設や作り物と思って見るとそのようにも見えますが、お仏壇も神棚も囲炉裏も、実際に使っているもの。

現在も暮らし続けている住まいの中に入れる、見学できるところが他の地域と大きく違うところ。そして、そのように住まいの中まで見学できる築120年を越える店舗兼住居が数多くあるのが村上の特色です。

鮭が吊るされた土間には、昔造り酒屋だった頃の名残の品がたくさん残っていて、例えば井戸や水桶もそのひとつ。これらは今でも現役で使われているのだとか。



店頭には食べやすく包装された鮭料理がずらりと並んでいます。

すべて化学調味料や保存料などは一切使っていない、手間ひまかけた丁寧な味。

地元だと自宅用に鮭料理を買うことはなかなか無いかもしれませんが、ここぞという時の贈り物や、村上に来てくれた方を案内する時、村上の鮭文化を伝えたい時、無くてはならない場所のひとつだと思います。


DATA
住所 新潟県村上市大町1-20
電話番号 0254-53-2213
営業時間 9:00〜17:30
休業日
 1月1日(研修のため9月と1月に臨時定休日あり)
駐車場 15台
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この記事を書いた人

松本典子

村上市の小さな宿「よはくや」のオーナー兼フリーライターです。村上生まれ、村上育ち。観光に来た人を連れて行きたくなるお店、ガイドブックに載らないようなお店、ふだんのまちの様子など、地元の目線でお届けします!

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